BtoBマーケティングコラム

なぜ成果が出ない?BtoB向けGoogleリスティング広告の勘どころ

Googleリスティング広告は、検索連動型広告としてGoogle検索結果に表示されるテキスト広告です。ユーザーの検索クエリに紐づいて広告が配信されるため、顕在層へのリーチに有効な手段となります。

本記事では、弊社がBtoB企業の広告アカウント運用を引き継いで成果を挙げた事例をもとに、Googleリスティング広告のキャンペーン設定から運用最適化までの主要ポイントを解説いたします。これからGoogleリスティング広告の新規出稿を検討されている、あるいは既存広告のパフォーマンス改善にお悩みのBtoB企業の広告ご担当者様は、ぜひご参照ください。

成果が出ない要因となった3つの問題点と改善策

Webサイト運用を担当されているお客様から、「Googleリスティング広告を出稿しているのに、お問い合わせ数が増えない」というご相談をいただきました。詳しくヒアリングを進める中で、主に次の3つの問題点が明らかになりました。

  1. キャンペーンの分割によるデータ分散
  2. 入札戦略と広告目的の不一致
  3. 不適切なキーワード設定

これらの問題に対し、以下の3つの改善案を提示しました。

  1. キャンペーン統合と初期予算の集中
  2. 学習段階に応じた入札戦略の切り替え
  3. 部分一致を活用した運用とキーワードの精査

それぞれの問題点と改善策について、以下より詳しく解説していきます。

クリックデータの蓄積と機械学習による最適化

問題:キャンペーンの分割によるデータ分散

お客様は、「社名」によるキャンペーンと「サービス名」によるキャンペーンの2種類を別々に運用されていました。
これにより、広告予算が分散され、機械学習に必要なクリックデータの蓄積が阻害されるという問題が発生していました。

Googleリスティング広告は、ユーザーの検索行動、クリック率(CTR)、コンバージョン率(CVR)といったデータを機械学習で分析し、広告の表示順位やクリエイティブ、アセットなどを自動で最適化していく仕組みです。ただし、この最適化を機能させるためには、一定量のデータが必要になります。本件は、予算が分散されたことで十分なデータが集まらず、この最適化プロセスが効率的に進まない状態だったのです。

改善策:キャンペーン統合と初期予算の集中

そこで弊社からは、以下の施策を提案しました。

  • キャンペーンを統合することで、予算とデータを集中させる
  • 広告出稿初期の予算を増額し、機械学習を加速させる

Googleリスティング広告のアルゴリズムは、短期間に大量のデータを処理することで最適化の精度が高まりやすくなります。また、初期段階で予算を集中投下することで、限られた期間内でもより多くのインプレッションとクリックを獲得でき、ユーザーの行動データが蓄積されやすくなります。その結果、広告が適切なユーザー層に表示され、コンバージョンにつながる可能性が高まります。

広告の目的に合わせた入札戦略の設定

問題:入札戦略と広告目的の不一致

2つ目の問題は、広告の主目的がコンバージョン(CV)獲得であったにもかかわらず、入札戦略が「クリック数の最大化」に設定されていた点です。お客様としては、CV実績が少ない初期段階から「CV数の最大化」を設定すると、クリック単価(CPC)が高騰してCV獲得が困難になるという懸念から、この戦略を選択されていたそうです。

前述のとおり、機械学習を進めるうえでクリックデータは不可欠であり、広告配信初期に「クリック数の最大化」を採用すること自体は間違いではありません。しかし、機械学習期間(約3週間)を過ぎても入札戦略を切り替えないままだと、CVデータが十分に蓄積されず、CV最適化が機能しづらくなります。

解決策:学習段階に応じた入札戦略の切り替え

この状況に対し、弊社は以下の戦略を提案しました。

  • 機械学習期間(約3週間)は「クリック数の最大化」を継続し、データ蓄積を優先する
  • 十分なデータが蓄積された後、入札戦略を「コンバージョン数の最大化」に切り替える

このように段階的に入札戦略を変更することで、まずはクリックデータを効率的に集めて最適化を促進し、その上でCV獲得に特化した最適化へとスムーズに移行させることが可能になります。
結果として、クリック単価を抑えながら、CVRの高い運用へとつなげることができます。

キーワード設定の最適化

問題:不適切なキーワード設定

3つ目の問題は、キーワードのマッチタイプの設定が過度に限定されていたことです。お客様はCVR向上を狙い、マッチタイプを「フレーズ一致」と「完全一致」に限定されていました。

たしかに、これらのマッチタイプは関連性の高いユーザー層に訴求しやすく、CVR改善には一定の効果が期待できます。しかし、その反面、検索ニーズの幅を狭めてしまい、潜在層へのリーチが限定されるというリスクがあります。特にBtoB領域では検索ボリューム自体が少ない傾向にあるため、顕在層だけでなく、広い意味で関心を持つ潜在層へのアプローチが不可欠です。

改善策:部分一致を活用した運用とキーワードの精査

この問題に対し、弊社は以下を提案しました。

  • 「インテントマッチ(部分一致)」を活用し、検索ニーズの広がりに対応する
  • 検索クエリレポートを活用し、不要な流入を除外しながらキーワード精度を高めていく

「部分一致」の使用によって、初期段階では意図しない検索クエリからの流入が増え、CVRが一時的に低下する可能性はあります。しかし、定期的に検索クエリレポートを確認し、ネガティブキーワード(除外キーワード)を追加していくことで不要な流入を抑制しつつ、関連性の高い新たなキーワードの発見につなげることができます。こうした運用を継続することで、CVRの最適化とリーチの最大化を両立する運用基盤が整います。
検索ボリュームが限られるBtoB領域においては、「部分一致×ネガティブキーワード」の併用による柔軟な運用が特に重要となります。

参考:「一人旅 温泉」で検索した場合
完全一致

ユーザーの検索語句がキーワードと全く同じか、ほぼ同じ意味の場合に広告が表示される。誤字脱字、単数形/複数形、語順の異なる同義語なども含まれる。

具体例:「一人旅 温泉」

フレーズ一致

 キーワードの語句が含まれており、かつそのキーワードの意図と同じ意味を持つ検索語句に広告が表示される。キーワードの間に語句が入ったり、前後に語句が付いたりする場合も対象。 

具体例:「一人旅 温泉」「ひとり旅 温泉 おすすめ」 

部分一致

キーワードと関連性が高いと判断された検索語句に広告が表示される。キーワードの類義語、関連語句、意図が似た語句など、広範囲にリーチする。

具体例:「一人旅 温泉」「ひとり旅 温泉 おすすめ」「湯治の宿」「リフレッシュ旅行 おすすめ」

弊社運用によるGoogleリスティング広告の成果

お客様へのご提案後、Googleリスティング広告の運用を弊社で引き継がせていただいた結果、獲得単価(CPA)の大幅な改善と、お問い合わせ数の増加を実現することができました。

お客様ご自身で運用されていた期間は、CPAが約50,000円まで上昇していましたが、弊社に運用を移行してからは、これを約13,000円まで抑制することに成功しました。これは、費用対効果の面で大きな改善と言えます。

また、運用移行前と移行後の1ヶ月間を比較しますと、お問い合わせ数が5倍に増加しました。お問い合わせ数の増加は、ターゲットユーザーへのリーチ拡大と広告の最適化が順調に進んでいることを示唆しています。

  • CPA:1/4以下に改善
  • お問い合わせ数:5倍
  • お問い合わせ数は、広告経由以外のお問い合わせも含みます。広告経由のコンバージョン数は非開示のため、弊社で把握可能な問い合わせ数をもとに比較しています。また、具体的な件数は伏せさせていただきました。

BtoB向け広告運用でお困りの方へ

本記事では、弊社がお客様から広告運用を引き継いで成果を挙げた事例からGoogleリスティング広告の設定、運用におけるポイントを解説いたしました。しかしながら、広告運用はここでご紹介した要素だけで完結するものではありません。市場環境、競合他社の動向、そして、お客様のビジネス目標やターゲット顧客の特性など、多岐にわたる要因が複雑に絡み合って広告の成果に結びついていきます。そのため、お客様の個別の状況に合わせて、常に最適な広告戦略を設計し、柔軟に運用していくことが重要となります。

イントリックスでは、BtoB企業に特化したデジタルマーケティング支援を長年にわたり行っています。もしBtoB企業で広告運用にお困りのご担当者様がいらっしゃいましたら、ぜひお気軽に弊社にご相談ください。
広告運用だけでなく、ターゲット定義やキーワード調査といった準備段階から、広告出稿後のランディングページ(LP)改修、さらには効果測定に至るまで、広告成果の最大化に向けて包括的にサポートいたします。

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