中小企業のデジタルマーケティング支援策:講演活動レポート
~公益財団法人木原記念横浜生命科学振興財団~
本当は大企業から中小企業まで、あらゆるBtoB企業を満遍なくご支援したいのですが、長期視点での取り組み体制を組めるのはどうしても大企業になりがちなので、今は偏ったクライアント構成となっています。 そこで、今でもできる中小企業支援策として、なるべくお引き受けすることにしているのが、デジタルマーケティングに関する講演です。2018年3月は、横浜市でライフサイエンス支援を担う公益財団法人木原記念横浜生命科学振興財団の会員ベンチャー企業向けに、お話をしてきました。
テーマはバイオベンチャーのデジタルマーケティング
当社はライフサイエンスで使われる精密機器メーカーの支援実績はあるものの、ライフサイエンスを手掛ける企業は、製薬メーカーを除いてほぼ経験がありません。こうしたご縁をいただけたのは、事務局の増田さんが、検索で当社を見つけてくださったからです。
同財団は公益法人のため、複数候補社を検討されていたのですが、当社にライフサイエンスの経験はないことをお話しした上で、企業のコミュニケーションの本質は同じなのでお役に立てるかもしれないことをお伝えし、最終的に当社を選んでいただきました。一部の会員企業に相談をした際の、単純なツールやテクニックの紹介ではない、会員企業のWeb活用レベルにあった講演をしてくれそう、という意見が決め手となったそうです。
講演準備の過程では、
- 社員数数名~100名程度のバイオベンチャー20~30社が参加
- 研究開発はできても、マーケティングが課題と感じている企業が多い
- ましてや、デジタルについては、体制もノウハウもない
ということをうかがっていたので、
「BtoBベンチャー企業のWebマーケティング -バイオビジネスを勝ち抜くために-」
と題して、基礎的な話をすることにしました。
とにかくコンテンツを増やそう
当日の講演は、BtoB企業のマーケティングの意義について私が、そして具体的かつ現実的なファーストステップと参加社のWebサイトの改善提案をアナリストの坂本が説明しました。
講演要旨は、デジタルの様々な技法を覚えようとするよりも、とにかくコンテンツを増やそうということ。それも、すべてをゼロから作る必要はなく、社内で棚卸をすれば、公開可能なコンテンツが必ず見つかるはずだ、とお話ししました。
コンテンツを作ることが重要だなんて、今さら言われるまでもない、とお思いの方も多いかもしれません。
しかし、これが出来ていない会社の多いこと。日本人、なかでも理系の方は、「情報発信が苦手」、もしくは、「良い技術があれば発信せずともわかってもらえる」のどちらかの考え方で、コンテンツを作ることに消極的なケースが非常に多いのです。
デジタル活用の意義は、誰もがどこにでもコンテンツを発信できるようになったこと。広く情報発信することが誰でもできるようになったということは、他社との差別化は、コンテンツでしかできなくなりつつあるのです。ましてや、どんなにネットのテクニックを駆使しても、コンテンツがなければ空気を運ぶのと同じで、全く意味がないのは自明でしょう。
C=C×C:伝えることができなければ無いのと同じ
当日好評だったのは、企業にとってコミュニケーションがいかに大切かを伝えるために紹介した、「コンサルティングのバリューは、C = C × Cである」という、かつて在籍したWebコンサルティング会社の上司の言葉でした。
その心は、コンサルティングの価値 = クリエイティビティ・発想力 × コミュニケーション、というもの。
「コンサルティングは発想力が重要と思われがちだけど、そうではない。コミュニケーションがつたなければ相手には伝わらない。掛け算ということは、ここがゼロだと、いくら発想が良くてもコンサルティング全体としての価値はゼロになってしまう。お客様にわかってもらうためのコミュニケーションにも同等の力を割け」、という意味で、私の心に強くひびいたアドバイスでした。
そして、これはコンサルティングに限らず、すべての企業に言えることだと思います。技術力のあるライフサイエンスのベンチャーも、その存在を世に知らせることが出来なければ、実質的には無いと同じなのです。
また、講演にご参加いただいた企業のWebサイトについては、トップページの「社会のために」「高度な医療を目指して」といった抽象的なメッセージでは、他のライフサイエンス企業との違いが伝わらないため、その中でもどんな分野を手掛けているのかを具体的に打ち出すべき、等のアドバイスを差し上げました。
講演後には、
- 海外向けのサイトは、日本サイトと作り分けるべきか?
- ソーシャルメディアとオウンドメディアの使い分け方について
- ログ解析で着目するポイントは?
- 事業部を巻き込むにはどうしたらいい?
といった質問をいただきましたので、私たちの考えを回答させていただきました。
デジタルマーケティングの基礎理解に向けて
技術・サービス力を持ちながらもコミュニケーション予算や人材が潤沢ではない中小企業にとって、デジタルマーケティングはハードルの低いコミュニケーション手法です。微力ながらその一助になりたいと考えていますので、時間の許す限り、お引き受けをさせていただきます。
今はイントリックスのサービスは必要ないけど、BtoBのデジタルマーケティングの基礎については関係者に理解してもらいたいというBtoB関連の団体の皆様は、ぜひお気軽にお問合せください。