BtoBデジタルマーケティングやWeb制作の情報と、イントリックスの日常風景をお伝えします。

2020年 新年のご挨拶
~目指すべきデジタル活用のネクストステージ~

イントリックスのこと
氣賀 崇
明けましておめでとうございます。 昨年当社は、無事創業10周年を迎えることができました。皆さまには平素より格別のご厚誼を賜り、心より感謝申し上げます。 政治・経済では、日本の存在感が薄れているとの報道ばかりが目につく中、来日する外国人観光客はこの10年で4倍となりました。昨年のラグビーワールドカップ開催中も、日本のおもてなしを絶賛するニュースが世界で報じられました。 日本の素晴らしさはきちんと伝えればこうして理解されるのに、日本のBtoB企業は一部を除き、まだその域には達していません。BtoB製品は人目に触れることが少なく、購入決定までのリードタイムも長いため、そもそもデジタルメディアによる継続的な情報発信がフィットするはずですが、まだ不十分と言わざるをえません。 しかしながら、もちろん進歩もしています。イントリックスの10年を振り返ると、BtoB企業のデジタル活用がどう進化し、どのような問題に直面しているのかがわかります。

完成品から部品、素材への広がり

当社ではBtoB製造業を素材、部品、完成品の3つに分類しています。この10年、一番多かったお客様は完成品メーカーでした。製品情報は汎用品が中心なので、完成品>部品>素材という汎用性の高さの順番に従って、まず完成品メーカーがWeb活用に熱心となったのです。

部品にも汎用品はありますが、種類が膨大なのでデータベースの整備から着手をすることが多く、当社よりも、専業のシステムインテグレーターを相談先とされることが多かったように思います。

ところがここにきて、素材や部品メーカーから相談をいただく機会が増えています。潜在顧客である海外新興メーカーの台頭に伴い、主要顧客である日本の完成品メーカー以外との接点を確保する必要性の高まりが背景にあります。そのため、デジタルマーケティングへの関心が強まっているのです。

また、部品メーカーのデータベースに関しても、Webやアプリでの検索性の観点から、UXやデジタルマーケティングツールとの連動性が重要となっており、Webとシステムの両方をカバーしている当社に相談いただけるようになりました。

コーポレートコミュニケーションからマーケティングへのシフト

デジタルコミュニケーションは企業活動の全てに関わることから、当社は俯瞰視点・長期視点を重視してきました。その典型は、グループ全体で数百あるWebサイト群のビジュアルやUXを統一し、ルールや共通コンテンツを整備するサイト群の再構築です。これらは、世界中のデジタル情報発信のベースを整えるものであり、コーポレートコミュニケーション的な取り組みと言えます。

対して、今増えているのは、事業部で必要となるマーケティングコンテンツやシステムのお問い合わせです。

BtoB企業のマーケティングは、これまで展示会とカタログが中心だったので、事業部にはWebコンテンツの企画をスムーズに回せる体制ができていません。BtoBのコンテンツは専門的な視点が必要であることから、ある程度社内で企画を進めるしかないことも、コンテンツの充実化を遅らせている要因のひとつです。そのため、事業部のコンテンツ拡充支援の依頼が多くなっています。

また、コンテンツの充実化が進むと、膨大なコンテンツの管理・活用のため、CMS、MA、PIM、DAMなどのシステムツールが必要になってきます。実際、当社でお手伝いするシステム導入プロジェクトは、増加・大型化傾向にあります。過去、計画通りに導入・活用できなかった苦い思い出のある企業も少なくないと思いますが、その反省から、戦略・要件定義をきちんと行い、プロジェクト推進のリスクも把握して導入するようになったことは、デジタル活用を進める上で大きな前進です。

人材育成へのニーズの高まり

10年前と比べ、BtoB企業のデジタル活用は広く浸透し、レベルアップもしました。予算も確実に増えており、今では10年前の売上1兆円企業と同規模の予算を、売上数百憶円の会社が割くことも珍しくありません。

一方、その分大きくなってきたのが人材育成の問題です。日々の運用に追われ、拡大する業務への対応で手一杯なため、ナレッジを体系的に継承する仕組みを持つ会社はほとんどありません。事業部ごとにデジタルの活用方法が異なり、個々人の習熟度のばらつきも広がる一方なので、人材育成方法の確立が急務となっています。BtoBの場合、既成の参考書やセミナーではカバーしきれないテーマが多く、当該事業にカスタマイズした教育講座やワークショップのご依頼を受けることも増えています。

以上を踏まえ、BtoB企業のさらなるデジタル活用を推進するためのキーワードは、「コンテンツ」「システム」「人材教育」だと考えています。

全社的なビジュアルデザインや、UXおよびWebガバナンスなどの基本部分を統一・整備できた会社が次に本気で取り組むべきは、事業部レベルでコンテンツ企画・制作を回し続けられる体制づくり、使えるシステムの導入、デジタルマーケティング人材の養成となるはずです。

いまや、DXという単語が一般誌でも普通に表記されるほど、社会や企業のデジタル化は広く普及した概念となりました。「海外に比べて大幅に遅れているデジタル化を、保守的な日本でどう進めるべきか」という問題意識は、社会のコンセンサスになったと言えるでしょう。

当社の強みは長期視点でBtoB企業のデジタル活用をお手伝いすること。

長い目で見たときに必要となる体制・ルールや人材・文化づくりを地道に行うことが、日本の文化に合った変革のアプローチだと信じて活動を続けて参る所存です。

本年もどうぞよろしくお願いいたします。