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BtoBマーケティングコラム 接点別!BtoBマーケティングと営業における連携ポイント
2024年2月28日
Index
- そもそもマーケティングと営業との連携がうまくいかないのか
- なぜ、マーケティング部が必要になってきたのか
- 他社よりも先んじて組織化すれば、市場シェアを獲得できる
- 見込み顧客との接点に、この4つを選んだ理由とは?
- 展示会で収集した名刺は、マーケティングと連携して、すぐに入力し、即日メールで配信すること
- 見込み客がダウンロードしたら、即営業ができるマーケティングとの連携が重要になる
- ウェビナー開催後の連携で、即日フォローし、ホットリードかどうか見極める
- 見込み客へ「個別」にオフラインセミナーの案内を行う。マーケティング任せにするのではなく連携が大切に
- お客様獲得という同じ目標に向かって、密にコミュニケーションをとって、分業と協業を再構築する
最近のビジネス現場では、マーケティングと営業の連携が円滑に行われないために、見込み顧客への対応が遅れたり、ニーズに合った提案ができなかったりして、新規のお客様を取り逃すことが増えています。この連携の課題は、さまざまな要因により引き起こされており、業界を問わず、多くの企業が直面しているのが現状です。
だからこそ、今マーケティングと営業との「良い連携」について再考するべきではないでしょうか。マーケティング部門と営業部門が密に連携することで、業務の効率化はもちろん、シナジー効果により、見込み客からの信頼度を高め、売上向上につなげることができます。この機会に、連携のポイントや成功事例を共有し、チーム全体で理解を促進していきましょう。
今回、営業・マーケティングの現場で多くの経験を積んできた当社の大西 泰輔氏が、最新の現場状況やトレンドに基づいたノウハウ、実践で使える具体的なアプローチを詳しく解説します。
そもそもマーケティングと営業との連携がうまくいかないのか
INTRIXは、日本の製造業のお客様を中心にご支援をさせていただいております。これまで日本では島国という立地の影響もあり、ほとんどの営業はお客様先に訪問するFace to Face(直接対話)で、お客様の開拓から商談、クロージング、そしてアフターフォローまで、全てを行ってきました。
しかし昨今のトレンドとして、企業にデジタルマーケティングが導入されることが増えています。これは、従来の訪問中心の営業スタイルとは異なるため、発言力の強い営業部門から理解を得られず、マーケティング部門との連携が取れないケースが代表的な例だと思います。
なぜ、マーケティング部が必要になってきたのか
日本の製造業は、それこそ戦後品質の高い製品を販売すれば、市場を拡大することができました。しかし、ニーズの多様化・複雑化、さらにはDXなどの高度化により、製造の前工程にあるコンサルティングから、後工程にあるアフターフォローまで、お客様の細かなニーズに合わせて提供していく「カスタマイズ」手法が求められるようになってきました。
その結果、既存のお客様を相手にしているだけでは、存続していけない危機感を企業自身が持つようになり、新たな市場にいる新規のお客様に対して、新たなソリューションを提供していく動きが、当たり前になってきました。
そこで、新たな市場などにフィットした営業職を雇用しようとすると、超売り手の採用市場では難しい現状があるため、人的リソースが足りなくなり、手が回らない部分に関しては、デジタルマーケティングを活用する必要が出てきました。そういった背景があると考えます。
他社よりも先んじて組織化すれば、市場シェアを獲得できる
デジタルマーケティングを導入して、マーケティングと営業が連携できている企業は、まだまだほんのひと握りです。それが実践できているのは、オーナー企業です。トップダウンで、営業とデジタルマーケティングを融合して、シナジー効果を出し、成果を上げています。
しかし多くの製造業は、ボトムアップスタイルで営業活動しているので、なかなか営業とマーケティングとの連携が取れていないのが現状です。そこで、いち早くこの2つの部門が連携をとって、しっかりと組織化できれば、他社よりも先んじて、市場のシェアを獲得できる可能性があります。
見込み顧客との接点に、この4つを選んだ理由とは?
今回、「展示会」「ダウンロード資料」「ウェビナー」「オフラインセミナー」の4つの接点を選びました。その理由は、INTRIXで実行して成果が出ており、具体的なノウハウがあるからです。お客様の商材によって、微妙にやり方が異なるかもしれませんが、考え方としては、十分に自社の施策としてヒントになるものばかりです。ぜひ、試していただければと思います。
展示会で収集した名刺は、マーケティングと連携して、すぐに入力し、即日メールで配信すること
①:展示会
「展示会」は、日本市場ならではの、見込み顧客との接点の1つです。日本では、直接相手と会って話をしてみないと、相手も心を開いて話をすることがありませんし、信頼関係もなかなか築けません。そのため、商談につなげられるような情報を収集することが、非常に難しい特徴にあります。
展示会を活用すれば、直接見込み客と相対できるので、情報交換を行えるだけでなく、名刺交換を通じて、見込み顧客の一次情報を収集することが可能です。
最近は、取得した見込み顧客の情報活用も、以前とは大きく変わってきました。従来は、獲得した名刺をそのまま紙で管理して、その名刺に記載されている連絡先に連絡してフォローする、ないしは、それをExcelファイルに手入力で整理するのが一般的でした。
それが、Salesforce社が日本市場に参入した頃から、獲得した見込み客の情報をデータ化して、MA(マーケティング オートメーション)の活用により、ユーザ(見込み顧客)の購入確度に合った情報を提供したりと、適切なタイミングで、アプローチを行うことが可能になってきました。
では、営業とマーケティングにおいてどういう連携が考えられるでしょうか。それは、展示会のブースを開いている見込み客のところに営業がお伺いして、名刺交換を獲得した後でのアプローチにおいてです。
営業としては、展示会で名刺交換した見込み客には、自社のことを認識していただくために、いち早く何らかのアクションをとりたいと考えています。具体的には、展示会の翌日には、SFA(Sales Force Automation/営業支援システム)に入力した見込み顧客(の担当者)に、MAツールを通じて、メールを配信するなどのファーストアクションです。そのためには、MAツールやSFAを管理しているマーケティグ部と、そういった進行スケジュールを共有する必要があります。
今や、昔ながらの名刺集めや、営業個別で顧客をファイリングする時代から、このようにデータ化して、社内システムにストックし、マーケティング部と共有する時代に変化してきています。
なおINTRIXでは、展示会で名刺交換させていただいたお客様(見込み客)へのフォローは即時対応を重視しています。名刺を交換した方は、営業の顔を覚えているわけではないため、お客様の記憶がある翌日にはメールでメッセージを送る。それを実現するために、一部の業務は、営業部とマーケティング部がクロスオーバーすることを想定して、業務を組んでいます。
たとえば、メール送信が本来マーケティング部の業務であっても、日常業務で手一杯のため、時間内に配信するのが難しい場合は、比較的手の空いている営業担当が対応するなど、助け合いながら業務を進めています。
見込み客がダウンロードしたら、即営業ができるマーケティングとの連携が重要になる
②:ダウンロード資料(RFP)
「ダウンロード資料(RFP/提案依頼書)」は、一般的には、ユーザがメールアドレスなどを入力すると、Webサイトから無料でダウンロードできる資料のこと。「ダウンロード資料」を活用することで、お客様(見込み顧客)の基本情報を入手できるのはもちろん、見込み顧客の興味・関心度を測ることができます。
つまり、お客様(見込み顧客)側はその情報を入手するために、基本情報を入力する負荷がかかるため、それを行ってでも資料を入手したいということは、当社の製品・サービスに一定の興味・関心を持つ見込み客の可能性が高いわけです。
こうした「ダウンロード資料(RFP)」において、営業とマーケティングとの連携ポイントになってくるのが、ダウンロードした後の見込み顧客へのアクションです。ここで、営業はマーケティングに依頼して、見込み客(ユーザ)にすぐにアプローチできるように連携しておくことが重要になってきます。
高額な商材を持つBtoB企業では、非常にリードタイムが長いため、単純にダウンロードの数や、コンテンツの閲覧数で見込み度が高いのかどうかを判断するのは、現実的ではありません。ユーザの見込み度合いを見極めるコンテンツを仕掛けておく必要があります。
私自身、過去お客様がホットな状態であるということを判断できるキラーコンテンツを仕掛け、それがダウンロードされた時に、マーケティングから即連携してもらい、こちらからすぐアクションをとり、「コンテンツ」に関する関心度や、現状の課題をヒアリングして、受注に繋げたことがあります。
もちろん、どういう資料にするのか。コンテンツの企画力も問われます。私たちINTRIXの場合は、これからホームページのリニューアルや、大規模なシステム改修を考えていらっしゃる見込み顧客(企業)が、まず作成する「提案依頼書(RFP)」をキラーコンテンツにしています。その情報を収集しているということは、向こう数ヶ月から1年の間でホームページリニューアルなどのニーズがあると判断できるので、こういったコンテンツを「ダウンロード資料」にしています。
企業によっては、お客様のコストシミュレーションや、具体的な事例集がキラーコンテンツになるかもしれません。それはお客様の商材によって変わってきます。そのキラーコンテンツが1つあれば、メディア記事やホワイトペーパーなど、さまざまなツールに活用できます。
基本的には「コンテンツをつくる、更新する」という作業の主体は、マーケティングが担うものかもしれません。ただし営業は、直接見込み客(ユーザ)に対して製品・サービスの説明や提案をしているため、マーケットの変化をいち早く察知できる役割を担っています。つまり市場の変化を迅速に捉えた上で、ダウンロードで提供するコンテンツをアップデートする指示を行う立場にいます。営業には、その起点としての連携も求められるでしょう。
ウェビナー開催後の連携で、即日フォローし、ホットリードかどうか見極める
③:ウェビナー申し込み
私たちINTRIXは、IT&Web制作会社なので、そこと製造業との共通点を考えてみると、やはり市場に認識されていない価値があると思います。たとえば、RFP(提案依頼書)を作成する支援を、私たちはサービスとしていますが、そもそもこうした支援をしている企業があること自体、製造業のお客様は認識していない可能性があります。
それと同じように製造業にとっても、新しい市場で、新しいビジネスを拡大していくためには、ターゲットとなるユーザに自社のサービスや製品を認知していただく必要があります。そのために有効なのが、私たちが成功ノウハウとして持っている「ウェビナーの活用」です。
私たちの事例でいうと、クリエイティブやデータ分析などの専門性や、抽象度の高い経営コンテンツ、現場単位での具体化されたソリューションなど、参加される見込み顧客の階層に分けて、ウェビナーを提供することが重要になってきます。
ウェビナーには、大きく分けて2種類あります。1つは、時間を決めて開催し、登壇者がリアルにセミナーを開催するタイプ。もう1つは録画して、特定の時間に配信するタイプ。INTRIXが行っているのは、後者です。発信する側からしても、一度録画してしまえば、さまざまな見込み顧客に何度も情報を提供することができるので、非常にコストパフォーマンスの高いアプローチができます。
そんな中で、営業とマーケティングとの連携ポイントになってくるのは、ウェビナー開催前と開催後になります。開催前には、マーケティングから営業へ、ウェビナー参加者のリストを共有します。営業は開催時間を確認して、開催後に、参加者リストをもとに全員に電話でフォローします。それによって参加者の見込み度(ホットリード)を、ある程度見極められます。
その2つの連携で、極めて重要になってくるのは「開催後の架電」です。営業の方であれば、ご理解いただけると思いますが、見込み顧客にアクセスできたからといって、いきなり営業的なアプローチはNGです。それによって、ユーザは心理的ストレスを感じてしまいます。あくまでも今後のウェビナーの改善や、ウェビナーを通じて参加者が解決できなかった課題を、カスタマーサポートの視点でヒアリングすることです。それによって参加者は「自分に有益な情報を提供していける相手なんだ」というようなことを認識していただけます。
ここでのもう1つの注意点は、即時のフォローが大切になってくるので、時間指定で行うなら、午前中か昼食時、または午後(夕方)の時間帯に開催するのがいいでしょう。夜になると、開催後の架電は難しいからです。こうした即時フォローを行うためにも、営業とマーケティングの細かな連携は重要になってきます。
なお、参加者の中には、冷やかしでの申し込みも少なくありません。そういう人たちをどのように見分ければいいでしょうか。ウェビナー後、電話でフォローすると、冷やかしの方は提供した資料に対して、社内でアクションを起こされていないことが多いです。そのあたりの、参加者のアクション度合いをもとに、ホットリードか、冷やかしなのかを見極めることができるでしょう。本気度の高い見込み客を優先的にフォローしていくと、受注にもつながりやすいです。
見込み客へ「個別」にオフラインセミナーの案内を行う。マーケティング任せにするのではなく連携が大切に
④:オフラインセミナー
「オフラインセミナー」は、会議室やオフィスなどで対面で行うセミナーのこと。INTRIXでは、セミナーを実施するだけではなく、後半の30分は相談会として、当社の社員(登壇者)がファシリテーションしながら、参加者とWebサイトを担当している方々(当社のお客様)との意見交換の場をつくるようにしています。
「オフラインセミナー」は、だいたい平日の夕方(17時〜19時)、参加者が仕事終わりに来ていただける時間に行っています。参加者は最大で10名程度。1~2名の時もあります。少人数で行っていますので、ほとんど本気の人しか参加しないので、見込み顧客のフィルタリングにも活用できます。
今はリモートワークが当たり前になっているため、オンラインで、新規のお客様を獲得して、成約までつなげることも増えてきましたが、高価格の商材では、BtoBのため、それが非常に難しい状況です。
なぜなら、お客様のベンダーの選定基準として、その会社への信頼感や安心感が非常に重要だからです。そこで、お客様へ提案を差し上げている途中に、このオフラインのセミナーをご案内することによって、足りない信頼感・安心感を醸成することができます。当社のオフラインセミナーでは、取締役(2名)がファシリテーションを行うことで、BtoBの抽象的な最終決定に関わる、心理的なハードルを解消しています。
またBtoBでの購買プロセスにおいては、複数の人が購買決定に関わってきます。窓口担当者、課長、部長、購買部の他に、技術スタッフが関与する企業もあります。こうした中では、窓口担当者が「ぜひやりたい!」と主張しても、他の人たちから賛同を得られなければ、最終的に失注してしまいます。
提案している営業担当者からは、窓口担当とその上司の方以外は、顔が見えない可能性もあり、そうなると説得もなかなかできません。
その点、オフラインセミナーを利用すると、窓口担当者以外の関係者も参加してくださることができるので、その方々がセミナーでの熱を社内に持ち帰っていただくことができます。それがポジティブな印象を関係者に与え、最終的に「受注」へつなげる可能性を高めます。これまでの私たちも、実績を通じて、そういう感覚を持っています。
営業とマーケティングとの連携ポイントは、見込み客(参加者)へのオフラインセミナーのご案内のタイミングです。デジタル上で獲得したリード(見込み客)のオフラインセミナーの参加率は、全体の10%ぐらいにとどまっています。つまり、「顔を合わせたことがない」あるいは「お話したことのない」企業の人たちのセミナーに足を運ぶというのは、心理的ハードルがまだまだ高いです。
今提案中で、既にお話もしている見込み客や、関係をさらに強めたい既存のお客様、休眠のお客様など、一定の関係があるお客様に対してであれば、人と人とのコミュニケーションを丁寧に行えば、参加率がぐっと高まります。その場合、一斉配信ではなく、「あなたのためになるので、このタイミングでご案内をしています」というようなメールや電話での「個別案内」が非常に大切なアプローチになってきます。そこはマーケティング担当だけに任せるのではなく、営業も率先して行う必要があるでしょう。
お客様獲得という同じ目標に向かって、密にコミュニケーションをとって、分業と協業を再構築する
マーケティング部門だから、ウェビナー業務を全部行うなど、従来のやり方だけだと、BtoBで成約を獲得し続けていくのが難しくなってきています。
見込み度合いの高いユーザを優先して、クロージングまで持っていくという前提プロセスを考えた時には、営業とマーケティングの従来の役割をゼロリセットにして、あるべき役割分担を再構築する必要があります。営業部門とマーケティング部門の連携は、効果的なビジネス戦略の鍵となってきます。単に分業制度を確立するだけでなく、それが円滑に機能するような組織づくりが重要になってきます。
そういったことを考えていくためには、営業部門とマーケティング部門が、普段から密なコミュニケーションをとり、顧客獲得という目標に向かって、共に考え取り組むことで、今の時代に合った組織にアップデートすることができます。
杓子定規の分業というのは、実は企業によっては合わないことが多いので、分業と協業を行いながら、会社ごとに個別にカスタマイズしていくのがいいでしょう。成長過程においては、単なるシステム構築だけでなく、定期的なコミュニケーション、顧客プロファイルの共有、「カルチャーづくり」や「組織づくり」が肝要だと考えています。
なおこの4つのテーマは、すべてやる必要はありませんし、順番も決まっていません。どこからでも着手できるので、自社に合ったテーマから選んでいきましょう。
著者プロフィール
大阪の私大で国際言語学を専攻し、米国のワシントン大学に留学。
卒業後、機械部品メーカーの海外営業として製品のマーケティング・販売に携わる。
その後、米国系の翻訳会社にて、大手日系企業のグローバルサイトの多言語展開プロジェクトの推進や、CMSと連携した翻訳テクノロジー製品の販売・導入に従事。
2016年9月にイントリックスに入社。大手BtoB企業のサイト調査・競合分析、ならびにブランディングやマーケティング強化に向けた戦略立案に取り組む。また、プロジェクトリーダーとして、グローバルサイト構築・拡充におけるプロジェクトの実行・推進やディレクションも手がける。
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noteでは、BtoBのデジタルコミュニケーションの面白さや意義、可能性などについて語っています