BtoBマーケティングコラム BtoB製造業向けマーケティング入門。成功のポイントや必要な人材についても解説

2024年4月3日

BtoBマーケティングが製造業に必要な理由

製造業の業界では、マーケティング、特に企業に対するBtoBマーケティングが非常に遅れていることが問題になっています。その理由は、高度経済成長期に日本経済の柱として成長した製造業は、「商品の良さや魅力を伝える努力」をせずとも「良いものさえつくれば売れる」時代だったから。

しかしインターネットが発達し、アジアから廉価で高品質な製品が大量に生まれる今、製造業にもBtoBマーケティングが欠かせなくなっているのです。

BtoBマーケティングとBtoCマーケティングの違い

マーケティング手法には大きく二つあります。一つは「Business to Consumer」の略でBtoCマーケティングと言われる消費者個人に向けたマーケティング手法。もう一つは「Business to Business」の略でBtoBマーケティングと呼ばれる、法人顧客を対象としたマーケティング手法です。

BtoCマーケティングの場合は、購入決定者の意思だけに左右されるのに対し、BtoBマーケティングは対象が企業のために様々な部門での承認が必要だったり、下請けと元請けの関係性、発注数や業界内で認知を上げる難しさなどがあり、BtoCに比べて非常にマーケティングが難しいのが現状です。製造業においてのBtoBは、原料や機械、部品など製造に関わる商材を扱うことも多く、細分化していることでますますマーケティングは複雑になっています。

製造業におけるマーケティングの現状と課題

いまやマーケティングは単なる営業サポートではなく、製造業を主とする企業の成長には欠かせないにも関わらず、マーケティング手法を取り入れていない製造業が多いのが現状です。製造業でいまだにBtoBマーケティングが浸透していない原因は、以下のことが挙げられます。

  • 製品開発に力を入れるあまり予算の大半が開発に回り、なかなかマーケティングにまで費用が回らない
  • 製造業は小さな工場なども多く慢性的に人手不足のため、マーケティング担当者を採用することが難しい
  • そもそも日本の製造業界には「良いものを作れば売れる」という考えが根強くあり、「売るための方法を考える」ということが浸透していない

中国や東南アジアなど廉価で品質が良い商品を大量生産している今、「良いものを作れば売れる」で時代ではなく、きちんとした販売戦略やマーケティングが必要です。製造業全体として、他の業界に比べてBtoBマーケティングが遅れているのは大きな課題となっています。

BtoBマーケティングが製造業に必要な理由

製造業は古くから「ものづくりニッポン」と言われるように、品質を上げること、良い商品を作ることに力を注いできた歴史があります。しかし「良いものを作れば勝手に売れる」という時代は終わり、廉価で高機能な商品が海外から入ってくる現在は、製造業でも「自社の商品・サービスを、より多くの企業に魅力をアピールして売り上げを上げていくこと」が重要になります。

以前は展示会や商談、紹介などで新規顧客を開拓しリードを獲得してきた企業も多かったですが、コロナにより対面が難しくなり、実際に手に取って商品を見たり対面で商品の紹介をするということが難しくなりました。そのため、売上のアップや市場拡大をするための手法は大きく変更せざるを得なくなりました。

ネットでの情報収集やネットショッピングも広まった今、企業も能動的に自分たちでより良い商品を探しているため、製造業界も自分たちの商品の魅力を伝えるためにBtoBマーケティングを取り入れることがますます重要になっているのです。

BtoBマーケティングを成功させるポイント

BtoBマーケティングを社内で導入し、初めてでもしっかりと成果を出して成功させるにはいくつか重要なポイントがあります。

それは「BtoBマーケティングの戦略をしっかりと立てること」「問い合わせ時から購入後のフォローまで、役割が異なる複数の部署との連携」「ターゲットの明確化」です。ただ闇雲に広告を出したりリード顧客にアプローチをしても、戦略やターゲットが定まっていなければBtoBマーケティングは失敗してしまいます。

製造業のBtoBマーケティング戦略

それでは具体的に、製造業でBtoBマーケティングを行う際に、どのような戦略が必要なのかを見ていきましょう。製造業のBtoBマーケティングの基本は「市場分析」「リード獲得」「顧客接点の強化」の3点です。

  • 市場分析

市場分析とは、自社が事業展開をする業界の特性や動向・ニーズを調査し、適切な製造計画や経営戦略を実施するための情報収集のこと。競合企業の動きや競合に比べての強みの把握も重要になります。

  • リード獲得

リードとは見込み顧客を指すマーケティング用語です。同じリードと言っても購入まであと一歩という温度感から、「検討を始めたばかり」という層まで、レベルは様々です。

  • 顧客接点の強化

リードを集めたら次に重要なのは、顧客接点の強化です。「興味があり資料請求をした」「展示会で商談の約束をした」なども、その後顧客ニーズから離れた提案をすれば商談はうまくいきません。

まずは大量のリード獲得で母数を増やし、そこから顧客の成熟度や緊急度に合わせて様々な内容や方法でアプローチをすることが重要です。

BtoBマーケティングの成功に欠かせない他部門との連携

いざBtoBマーケティングを導入したいと思った際、どこの部署が担当すれば良いのでしょうか?

従来の製造業界の販売手法は、「見込み客のリストを営業が集めてそこに訪問・電話をし、関係性を作りながら販売する」ということがメインでした。しかしインターネットが発達した今、購入者が国内外問わず自ら情報を調べて購入する、つまり営業マンを介さない販売も増加しています。

特にコロナ禍を挟んで対面での営業活動が難しくなったことから、BtoBの営業活動は非常に複雑になっています。

現在BtoBマーケティングで主流なのは以下の流れです。

  • リード獲得から問い合わせ内容の把握
  • 顧客の要望に合わせた提案
  • 受注後のフォローや継続利用のための関係性づくり

場合によっては顧客のニーズに合わせて開発・新サービスの提供も行います。このように、購入前の資料請求などのファーストコンタクトから購入後のフォローまで、様々な部署が関わって一つの顧客との関係性を構築しているため、各部署でBtoBマーケティングの知識が必要とされるのです。

ターゲットと顧客ニーズの明確化

BtoBマーケティングの戦略を考えるとき、最初に行う最も重要な項目の一つにターゲティング、つまり「誰に売るのか」「どの業界のどんな層に需要があるのか」を見極める作業があります。

ターゲティングとは売りたい市場を絞っていく作業です。具体的には、市場調査や過去の購入履歴などの分析でターゲット層を絞っていきます。

「自社の商品を買ってくれる可能性のある企業はどのような企業・業界なのか」「製品の完成後、どこにアプローチすれば効率的に売り上げを上げられるか」が、ターゲティングを行うことで明確になります。
商品完成後に広告を打ったり展示会に出展するにしても、ターゲットがいない場所に出しては何も効果がなくお金の無駄になってしまいます。また製造業界においては「どんなニーズがあり、求められている機能な何か」を把握することも重要です。顧客のニーズを製品開発に反映させることも多いので、しっかりとしたターゲティングを把握することはBtoBマーケティングの初期の段階でとても重要になります。

BtoBマーケティング人材の育成とマーケティング戦略

BtoBマーケティングに必要な人材とは

製造業にBtoBマーケティングが広がっていない理由の一つに、人材不足があります。業界的に人材が少ないことに加え、小さな製造業ではマーケティングの選任を雇う余裕がありません。しかしここまで述べたように、今や製造業界の中で生き残りをはかるためにもマーケティング人材の採用は急務です。

それではBtoBマーケティングを始めるために、どのようなスキルの人材が求められるかを見てみましょう。

  • リサーチャー

リサーチャーの仕事は、市場を分析し需要を探したり自社の強みを明確化することです。まずは消費者の好みや関心、他社や業界全体の動きを分析し、自社が強みを発揮できる道を探ります。
その際には、データや情報収集に基づく分析力が求められます。

  • マーケター

オンラインでの情報収集が主流となった現在あらゆる業界で求められているマーケターは、「オンライン上のデータ解析ツールを駆使して、数値に基づく分析ができる」「MAやSFAのシステムを使いこなせる」人材です。

  • カスタマーサクセス

カスタマーサクセスとは、単に顧客の質問に答えるカスタマーサービスとは異なり、顧客満足度を高めてサービスの継続利用を図ったり、ワンランク上のサービスを提案するなど、高いコミュニケーション力と提案力が求められます。新規開拓が厳しくなる現在、カスタマーサクセスは重要なマーケティング手法として大きな注目を集めています。

BtoBマーケティングに必要な人材を育成する方法

社内からマーケティング人材を抜擢する際には、ロジカルな考え方ができる人・ジェネラリストな気質を持っていることが重要条件になります。そういった気質以外には、以下のような要素が求められます。

  • 自社の製品やターゲットについて熟知している人材(営業経験があり顧客接点の多い人や社歴が長い人など)
  • 分析やデータに強い人
  • システムに強い人
  • コンテンツづくりや広告に強い人

これらの素質や経歴を持った人を選んだ上で、e-ラーニングや専門の外部講師を招くなどして「BtoBマーケティング」についてのインプットを行います。重要なのはインプットと実践をバランスよく行うことです。またBtoBマーケティングは営業部門に近いため、受注率やリード数などで評価をされるケースが多いですが、マーケティング施策の結果がすぐに出るとは限らない上に「たまたまで再現性がない成功」の場合もあるので、数値目標だけで判断するのは危険です。

競合他社のマーケティング戦略の調査

BtoBのマーケティング施策を考えるに当たって重要なことが、競合調査と競合他社が行なっているマーケティング施策を調査することです。競合のマーケティング内容を分析することで競合の強み・弱みも見えますし、またそれにより無駄に同じ土俵で戦うことを避けることもできます。

競合が圧倒的なシェアや強みを持っている分野にあとから乗り込むことは得策ではないケースが多いので、「競合がどの位置にあるのか」を把握することは、自社のマーケティング活動の上でも重要です。

競合他社の調査としては、以下のようなことが挙げられます。

  • どのような展示会に出展しているかでターゲットが見える
  • ネット広告の出稿キーワードの調査をすることで、何を強みとして売り出しているのかが分かる
  • フレームワークに競合の情報を当てはめることでマーケティング戦略が見えてくる

BtoBマーケティングで導入すべき3つのツール

BtoB商材はBtoCに比べて検討の期間が長く一方で、一瞬で購入することもあれば長年情報収集していてある時突然具体的に検討を始める場合もあります。また顧客の入口も展示会や自社ホームページからの問い合わせ、紹介など様々なので、個々の顧客の動きを把握・取りこぼさないためには様々なツールで顧客動向をしっかりと把握して最適なフォローをすることが重要です。BtoBマーケティングに特に必要なツールは以下の3つですので、マーケティング担当者はしっかり使いこなせるようにしてください。

  • MAツール

MAツールはマーケティングオートメーションの略で、新規顧客獲得における一連のマーケティング施策や状況を管理し可視化するツールの総称です。MAツールは、様々なルートから企業が獲得した見込み顧客(リード)を育成し、受注確度を高めた状態で営業部門に渡すまでの流れを自動化・仕組み化します。

  • SFA

SFAとはSales Force Automationの略で、営業の見える化を実現し、営業の生産性の向上や業務改善を支援するツールです。元々は営業の俗人化を防ぐためのツールですが、顧客管理や案件管理も行えるため、マーケティング施策にも利用できます。

  • web解析ツール

BtoBマーケティングに欠かせない手法として、webの分析が挙げられます。現在は多くの企業が自社のホームページに力を入れているため、ホームページからの問い合わせも増えているからです。リード獲得を増やすためにも「どのページがよく読まれているか」「どのキーワードでホームページにたどり着いたのか」などの分析が重要で、その際にはGoogle Analyticsなどのweb解析ツールが必要です。

まとめ

この記事では、製造業におけるBtoBマーケティングの重要性と、実際に社内で取り入れて成功させるための様々なポイントを解説しました。高度経済成長期のように「作れば売れる」時代は終わり、中国やアジアなどの製造業の発展が目覚ましく、インターネットの活用が世界中で当たり前になった今、「自分たちが作りたい製品ではなく必要とされている製品を作ること」が求められており、そのために必要なのがマーケティングなのです。

多くの顧客の動きを把握し取りこぼさないためには、MAツール・SFA ・web解析ツールなどを用いて顧客情報をしっかりと把握して最適なフォローをすることも重要になります。人材を育てて新たなツールを学ぶなど、やらなければならないことがたくさんありますが、BtoBマーケティング手法をしっかりと取り入れることで厳しい製造業界において競争力の高い企業になると言えるでしょう。

BtoB企業のデジタルコミュニケーションを総合的に支援しています

BtoB企業に特化したサービスを提供してきたイントリックスには多くの実績とノウハウがございます。現状のデジタル活用の課題に対し、俯瞰した視点でのご提案が可能ですので、ぜひお気軽にご相談ください。

お問い合わせ

デジタル活用 無料オンライン相談会

BtoB企業のデジタル活用を支援してきた各分野の経験豊富なコンサルタントが、マクロな調査・戦略立案からミクロなデジタルマーケティング施策まで、デジタル活用の悩みにお応えします。

無料オンライン相談会
概要・お申し込み

BtoBデジタルマーケティングのお役立ち資料

BtoB企業向けにデジタルマーケティングの最新情報をホワイトペーパーとしてご提供しています。

資料ダウンロード
INTRiXメールマガジン

セミナーやコラム情報をお届け

ご登録はこちら