BtoBマーケティングコラム 「企業ブランディングの整理」に必要な基本ステップ(森 大樹)

2023年8月21日

【無料ウェビナー】「BtoBにブランディングは必要ない」は誤解!BtoB企業にメリットをもたらす4つのブランディング効果

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コーポレートサイトをデザインする前に行うべき「企業ブランディングの整理」について、イントリックス株式会社 クリエイティブ部 部長 アートディレクターの森 大樹が解説します。

サイトリニューアル時には企業ブランディングの整理がおすすめ

弊社では多くのBtoB企業様のサイトリニューアルを行なっていますが、その際に、クライアントから社内外への発信や印象変化についてのお悩みをいただいたり、実際にデザインを進める時に具体的に何を指針とするべきかわからないといった、ブランドに関する課題が見つかることが多くあります。

それらは根本的なブランディングによって解決できるものではありますが、例えば企業ロゴやタグラインの再設計など、大規模なブランディング施策においては時間や労力などのコスト負担が大きく、結論として棚上げになってしまうことが多いのが実情ではないでしょうか。

そこまでのコストをかけることはできない、でも課題を解決したい、良いサイトにしたい、そんな時に弊社ではブランディングの整理から始めることをおすすめしています。

図1:ブランドからデザインまでの具体化におけるブランディング整理の立ち位置の概念図

マーケティング視点でのブランディングの整理とは?

ブランドに関する課題解決は対象となる企業によってさまざまですが、その中でもよくあるパターンを例に、ブランディング整理の考え方からご紹介したいと思います。

まず前提の考え方として、ブランディングの最終的なゴールは当該企業の経済活動をポジティブに変化させることであり、そういう意味でブランディングはマーケティング手法の一つにあたると考えています。

ですので、ブランディング整理の準備としては、マーケティング視点でのリサーチから行います。

ここでの具体例としては「3C分析」をとりあげようと思います。
3C分析とは、「Customer(市場・顧客)」「Company(自社)」「Competitor(競合)」の3つの切り口から自社のアピールポイントを探るリサーチ手法です。

図2:3C分析の概念図

具体的にどのようにリサーチしていくのか?

例として「Company」視点でのリサーチについてご説明します。

自社の強みや将来への展望などを探るこの視点においては、さまざまな切り口によるリサーチ手法がありますが、その中でも弊社でよく行われるのは、企業の「変えたくないもの」と「変えていきたいもの」に切り分けたリサーチ手法です。

企業理念やMVV、または中期経営計画や社長メッセージなど、すでに存在する情報やメッセージを有効に活用して、そこから読み取ることができる「企業のあるべき姿」を導き出します。

【変えたくないもの】企業理念やMVVなどの活用

弊社がサイトリニューアル案件などで関わるBtoB企業さまにおいては、ミッション・ビジョン・バリュー(以下、MVVと称する)や企業理念、行動指針など、社内外に対してのコミュニケーションの軸となるものは十分に揃っていることがほとんどです。

実はそれらを有効活用することで、十分企業ブランディングのベースとなるものは導き出せます。

とくに企業理念やMVVといった指針は、企業の普遍的な価値観「変えたくないもの」と考えられるので、ブランドのコアな要素として取り入れる場合が多いです。

企業理念やMVVはずっと存在しているけれどあまり触れる機会がない、場合によってはホコリをかぶってしまっているなどと感じていることがあれば、この機会にそれらに本来の役目を全うしてもらってはいかがでしょうか?

【変えていきたいもの】中期経営計画や社長メッセージなどの活用

中期経営計画や社長メッセージなどは、企業としての今後の方向性をうたった内容が多く含まれるため、企業の展望を知るのにとても大事な情報になります。

たとえば、社長メッセージで「未来」というキーワードが出てきた場合、それをさらに具体化させるために「先進性」「明るい世界」などとといったワードにブレイクダウンします。

さらに「先進性」が意味するのが、例えば光の線が交錯するようなビジュアルに感じる「テクノロジー感」なのか、はたまた月面着陸の際の足跡のビジュアルに感じる「パイオニア感」なのか、などといったように視覚化を行う、といった手順で進めます。

これらがしっかり行えないと一つの抽象的なキーワードから複数のイメージが出来上がってしまうため、この作業においては関係者全員が同じ印象を思い描けるようになるまで方向性を具体化することが大切です。

【現場の意見】社員のみなさまへのアンケートやインタビュー

社員のみなさまからのアンケートやインタビューからも、ブランドの方向性を探ることができます。

企業理念やMVV、社長メッセージといったものは大切な考え方の柱ではありますが、日常的な仕事や社員生活において、そことはどうしてもギャップが生まれることもあるかと思います。

ですので、前述した2つの切り口で企業としてのあるべき姿を探りながら、一方で社員のみなさんが現実に感じている印象や意見で調整することは、最終的な実効性を高めるためには必要な作業なのです。

どんな社員をターゲットにするかは、状況によって変わります。

たとえば全社アンケートのように数を必要とする場合もありますし、逆に、ノイズの少ない情報を得るためにコアなメンバーのみに長時間インタビューすることなどもあります。

他にもある、さまざまなリサーチ手法

もちろん、ここでご説明した以外にも、「Customer(市場・顧客)」や「Competitor(競合)」といった視点を念頭においた市場調査やユーザー調査や、前述と同じ「Company(自社)」視点でもワークショップなどといったさまざまな手法が存在します。

実際のプロジェクトにおいては、対象企業の状況に合わせてそれらを適切に組み合わせることで、できるだけ正確な情報を取得することが大事だと考えています。

ブランディングの整理の進め方・考え方とは?

企業ブランディングの整理を行う際、進め方のベースとなる考え方としては「ダブルダイヤモンド」という思考法を活用します。

ダブルダイヤモンドとは、発散(問題や解決策の洗い出し)と収束(問題や解決策の絞り込み)を繰り返しながら課題を解決に導く思考法です。

図3:ダブルダイヤモンドの概念図
出典:UX TIMES
https://uxdaystokyo.com/articles/glossary/doublediamond/

例えば、前章でご紹介した内容を当てはめると、インタビューなどが「探索」フェーズにあたり、そこから得られた情報を整理して絞り込み、芯となる課題を見つけ出すのが「定義」フェーズ。

さらにそこで見つかった課題を解決するブランディングの検討が「展開」フェーズと「提供」フェーズで行われるといったかたちです。

一見、遠回りにも感じられますが、このように発散と収束を繰り返すことで情報の純度が上がり、よりクオリティの高いブランドコンセプトやブランドメッセージといったアウトプットに結びつくのです。

ブランディングの整理がどうデザインに影響するの?

さて、ここまでブランディングの整理についてご説明してきましたが、それがどうサイトリニューアルのデザインへ影響するのでしょうか?

2つの例で、企業が抱えるブランディングの課題と、サイトデザインの方向性を具体的に紹介します。

【例1】時代の最先端を行くIT企業

  • ブランディングの課題
    • 旧来からの提供サービスの認知や印象が強く、実はそれ以上に革新的な技術力があることや、新たなサービスを生んでいるというイメージを伝えきれていない
  • サイトデザインの方向性
    • ブランドメッセージとして「時代を切り拓く業界のトップランナー」という方向性を設定
    • トレンドを強く意識したビジュアルで現代性を表現し、さらに斬新なインタラクションを採用
    • Webサイトのリニューアルに合わせて、それと同じビジュアルを他メディアにも展開。認知度の向上と競合との差別化を図ることで、業界のリーディングカンパニーであるというイメージを与える

【例2】技術力を積み上げてきた老舗部品メーカー

  • ブランディングの課題
    • 確かな技術力を積み上げてきた実績があるのに知られていない
    • 昔ながらの雰囲気がネガティブに捉えられ、採用などで人気が上がらない
  • サイトデザインの方向性
    • 「技術と信頼を積み重ねた100年企業」として、古さを「長く続けている安心感」という捉え方に変換してポジティブに発信する
    • 華美な装飾に頼らずシンプルなデザインで構築することで誠実な印象を伝える
    • 自社の社員をビジュアルとして多く使用し、例えば有機野菜のパッケージに生産者の顔写真を使用するように、顔が見えることの安心感を表現する

このように、企業ごとに抱えている課題はそれぞれで、その解決を目的とするデザインの方向性も、自ずとさまざまな対応を行うことになります。

【まとめ】企業ブランディングの整理という考え方

本コラムでは、企業ブランディングの整理について解説しました。
企業ブランディングに必要な情報や進行手順は企業によってさまざまで、今回紹介した内容がすべての企業に当てはまるわけではありません。

ですが、もしも社内外への発信やイメージ戦略について課題を抱えているのであれば、一度、大規模なブランディング施策を行う前に、改めて企業ブランディングの「整理」を検討してみてはいかがでしょうか?
また、その際には本コラムの内容を参考にしていただければ幸いです。

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著者プロフィール

森 大樹
イントリックス株式会社 クリエイティブ部 アートディレクター

多摩美術大学を卒業後、番組制作やMV制作に携わったのちにWebデザイナーとなる。
その後、アートディレクターとして2019年にイントリックス株式会社に入社。
大規模なサイトリニューアルプロジェクトにおいて、デザインルール策定から個々のページデザインまで通してアートディレクションを行っている。

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