具体的にどのようにリサーチしていくのか?
例として「Company」視点でのリサーチについてご説明します。
自社の強みや将来への展望などを探るこの視点においては、さまざまな切り口によるリサーチ手法がありますが、その中でも弊社でよく行われるのは、企業の「変えたくないもの」と「変えていきたいもの」に切り分けたリサーチ手法です。
企業理念やMVV、または中期経営計画や社長メッセージなど、すでに存在する情報やメッセージを有効に活用して、そこから読み取ることができる「企業のあるべき姿」を導き出します。
【変えたくないもの】企業理念やMVVなどの活用
弊社がサイトリニューアル案件などで関わるBtoB企業さまにおいては、ミッション・ビジョン・バリュー(以下、MVVと称する)や企業理念、行動指針など、社内外に対してのコミュニケーションの軸となるものは十分に揃っていることがほとんどです。
実はそれらを有効活用することで、十分企業ブランディングのベースとなるものは導き出せます。
とくに企業理念やMVVといった指針は、企業の普遍的な価値観「変えたくないもの」と考えられるので、ブランドのコアな要素として取り入れる場合が多いです。
企業理念やMVVはずっと存在しているけれどあまり触れる機会がない、場合によってはホコリをかぶってしまっているなどと感じていることがあれば、この機会にそれらに本来の役目を全うしてもらってはいかがでしょうか?
【変えていきたいもの】中期経営計画や社長メッセージなどの活用
中期経営計画や社長メッセージなどは、企業としての今後の方向性をうたった内容が多く含まれるため、企業の展望を知るのにとても大事な情報になります。
たとえば、社長メッセージで「未来」というキーワードが出てきた場合、それをさらに具体化させるために「先進性」「明るい世界」などとといったワードにブレイクダウンします。
さらに「先進性」が意味するのが、例えば光の線が交錯するようなビジュアルに感じる「テクノロジー感」なのか、はたまた月面着陸の際の足跡のビジュアルに感じる「パイオニア感」なのか、などといったように視覚化を行う、といった手順で進めます。
これらがしっかり行えないと一つの抽象的なキーワードから複数のイメージが出来上がってしまうため、この作業においては関係者全員が同じ印象を思い描けるようになるまで方向性を具体化することが大切です。
【現場の意見】社員のみなさまへのアンケートやインタビュー
社員のみなさまからのアンケートやインタビューからも、ブランドの方向性を探ることができます。
企業理念やMVV、社長メッセージといったものは大切な考え方の柱ではありますが、日常的な仕事や社員生活において、そことはどうしてもギャップが生まれることもあるかと思います。
ですので、前述した2つの切り口で企業としてのあるべき姿を探りながら、一方で社員のみなさんが現実に感じている印象や意見で調整することは、最終的な実効性を高めるためには必要な作業なのです。
どんな社員をターゲットにするかは、状況によって変わります。
たとえば全社アンケートのように数を必要とする場合もありますし、逆に、ノイズの少ない情報を得るためにコアなメンバーのみに長時間インタビューすることなどもあります。
他にもある、さまざまなリサーチ手法
もちろん、ここでご説明した以外にも、「Customer(市場・顧客)」や「Competitor(競合)」といった視点を念頭においた市場調査やユーザー調査や、前述と同じ「Company(自社)」視点でもワークショップなどといったさまざまな手法が存在します。
実際のプロジェクトにおいては、対象企業の状況に合わせてそれらを適切に組み合わせることで、できるだけ正確な情報を取得することが大事だと考えています。