BtoBマーケティングコラム 初級・実践 GA4、GTMの設定方法紹介!CASE 02 セッションを超えたユーザーの行動を見える化しよう!

2024年5月17日

GoogleアナリティクスがGA4になったことで、イベントスコープやセッションスコープでの評価からユーザースコープでの評価に目線が切り替わり、ユーザーの行動全体を見渡すことができるようになりました。
ただ、GA4を導入されている方でも、従来のユニバーサルアナリティクスの考え方から思考がアップデートされておらず、イベントスコープやセッションスコープでの評価に留まっているケースも多く見受けられます。
せっかくGA4へアップデートしたのにそれではもったいないので、ユーザー行動全体で評価を行えるように考え方をアップデートしていきましょう。

ユーザー行動を中心にした分析とは

Googleアナリティクスにより分析を行う際には、ユーザーの行動全体を見渡し、初回接触からコンバージョンまでのユーザー行動で分析を行うことが効果的です。
B to Cと違ってB to Bの場合は、サイトに訪れたユーザーがすぐにコンバージョンすることは基本的になく、何度もユーザーがサイトに訪れてくることが多いものです。
このときのユーザー行動について仮説を立てるために、私たちは「コンセプトダイアグラム」を作成しています。

図1:コンセプトダイアグラム

このコンセプトダイアグラムでは、ユーザーは初回訪問時は漠然と情報収集しています。その後課題が明確になり、課題について理解していきます。そこから解決のためのソリューションを知ったり製品を知ったりするプロセスを経て、問い合わせにつながるという仮説を立てています。
さらに、あるユーザーの行動として次のような行動があったとします。

図2:ユーザー行動一例

このユーザーは、3回目のセッションで問い合わせフォームを開いたものの、問い合わせ完了まで至りませんでした。しかし、その後もう一度アクセスして企業情報を閲覧していました。おそらく取引に値する企業かどうかを判断するために企業情報を見ており、その後で問い合わせのコンバージョンが成立しています。

初回訪問時には、技術情報にアクセスした後に問い合わせにはつながっていません。そのためセッション単体で見ると、「技術情報のランディングページはお問い合わせに貢献していない」という扱いになってしまいます。直接お問合せへのリンクをクリックしたコンテンツのみが評価され、それ以前のコンテンツは評価されないわけです。

しかしユーザー単位で分析を行うと、技術情報や製品情報のページは最終的に問い合わせにつながっているため、技術情報は優良なユーザーをサイトに集めるために有効なコンテンツであることが見えてきます。また、コンバージョンの直前にお問い合わせを見ている行動ログから「問い合わせの前に企業情報を確認しているユーザーがいるので、取引の信用につながる情報を企業情報のページに記載しよう」などの施策を打つことができるようになります。

このように、コンテンツについては、直接的にコンバージョンに貢献しているものだけでなく、間接的に貢献していることについても評価できるようにすることが重要です。

ユーザー行動を中心にデータを分析するためのレポートを作成しよう

ここでは、2つのレポートについて紹介します。一つ目が、「コンテンツ評価レポート」です。
GA4の生データをダウンロードして加工する必要があるため難易度が高くはありますが、ページに訪問したことがあるユーザーのうち、コンバージョンにつながったユーザーについてセッションを超えて評価するためのレポートを作ることも可能です。
実際に当社で作成した「マーケ施策コンテンツ評価表」を見てみましょう。

図3:マーケ施策コンテンツ評価表

この表では、「「企業ブランディングの整理」に必要な基本ステップ」というタイトルのページの問い合わせ率が非常に高く、サイトに訪れたユーザーのうち4.8%が問い合わせまで至っていることが分かります。

ページビュー数単体で見ると、「「企業ブランディングの整理」に必要な基本ステップ」は他のページに比べて高くはありません。しかし貢献度が高いページであることが分かります。
このように、問い合わせ率まで知ることができれば、PV数に関係なく貢献度が高いページについて明確に知ることができるのです。
貢献度が高いページについて知ることができれば、「似たようなページを作ってみる」「このコンテンツをページの上部に表示する」「メルマガで紹介するコンテンツにこのコンテンツを含める」など、有効な施策も見えてきます。
ロングテールになるほどこういったコンテンツ資産が増えていきますから、実際の数字に沿ってコンテンツ資産をより活かせる施策が打ち出せるというわけです。
このレポートはGA4の生データをダウンロードして加工する必要があるため、今回はより簡単にデータを見ることができる方法について紹介します。

レポートの作り方

GA4には、自動収集されるデータに加えて独自にさまざまな情報を付加できる「ディメンション」という機能があります。
コンバージョンに至ったユーザーを分析し、より有効な施策を打つためには、コンバージョンに至ったユーザーが最初にどのようにサイトに訪問したかという経路を知ることが重要です。そのために役に立つのがディメンションです。このディメンション機能を使ってレポートを作成しましょう。

まずは、ユーザーのライフタイムの初回訪問日についてデータを得てみましょう。ここでは、イントリックスサイトの「 浜松ホトニクス株式会社のプロジェクト事例ページ」に訪れているユーザーについてデータを取得してみます。

【ユーザーの初回訪問日を確認する手順】

  • GA4の探索レポートを開く
  • 自由形式で表を作成
  • 期間を設定:2024年1月〜3月
  • ディメンションを追加する「+」ボタンをクリック
  • ディメンション「ページパスとスクリーンクラス」「初回訪問日」「ユーザーの最初の参照元/メディア」をインポート
  • 指標を追加する「+」ボタンをクリック
  • 指標「表示回数」を追加する
  • 値に「表示回数」をドラッグ&ドロップする
  • フィルタをかけて、特定のページの表示回数に絞る
  • ページパス:次と完全一致:/portfolio/hamamatsu01_globalsite/
  • 一旦、該当のページの表示回数を確認したいためディメンションの行に「ページパスとスクリーンクラス」をドラッグ&ドロップする
図4:事例ページの表示回数

実際にレポートを取得してみると、55回という数字が出ました。

次に初回訪問日を見てみます。
・ディメンションの行に「初回訪問日」をドラッグ&ドロップします

図5:初回訪問日別の表示回数

初回訪問日を見てみると、(2024年1月〜3月)に初回訪問しているユーザー以外にも、2023年10月、12月などのユーザーがいることが分かります。
初回訪問日のディメンションを取り除き、「ユーザーの最初の参照元/メディア」を行に追加するとどの施策で集客したユーザーが該当のページに到達しているのかを確認することができます。

図6:参照元/メディア別の表示回数

また、「問い合わせを完了している」などの任意のイベントを設定することで、特定のイベントについて、初回の訪問から問い合わせ完了までにどの程度の期間が空いているかを確認することもできます。
また、初回訪問からアクションがあった日付までにどの程度開きがあるかを見たい場合は、行部分に「初回訪問日」「日付」ディメンションを追加します。

図7:初回訪問~アクションの期間の確認方法

私たちは「事例ページにユーザーが訪れるのは、ナーチャリングの後半である」という仮説を立てていました。このように比較することにより、当仮説がある程度正しいことが検証できました。

ga_session_numberを確認する方法

GA4の通常のレポートでは、新規ユーザー/既存ユーザーを確認することができますが、この新規、既存を判別するための基となる数字が「ga_session_number」です。該当のログがそのユーザーにとって何回目の訪問で発生しているのかを確認することができます。

管理画面でカスタムディメンションを設定
カスタム定義:カスタムディメンションを作成

図8:ga_session_numberのGA設定画面

設定した値は翌日以降に見ることができるので、翌日以降に「データ探索」から「ga_session_number」ディメンションをインポートし、行または列に「ga_session_number」を挿入して確認してください。

図9:ga_session_numberの確認方法

この項目は既存ユーザーか新規ユーザーかを判別するために利用することもできます。新規・既存の比率を算出するだけではなく、既存ユーザーの訪問回数も確認することができます。そのため、ユーザーの訪問回数に応じた行動傾向を分析することが可能です。

図10:新規/既存の行動傾向分析

ユーザーの初回訪問日に加え、特定のページでアクションを起こしたユーザーについて、行動を起こした日と初回訪問の間の期間や行動を起こした時のセッション回数などを傾向として把握しておくことは、B to Bマーケティングにおいては重要な指標になります。
B to Bの場合、初回訪問ですぐにコンバージョンにつながる確率は高くはありません。そのため、コンバージョンに至るまでにどの程度サイトを訪問しているのかを知ることが有益です。
訪問セッション数の平均値を取ることは難しいかもしれませんが、全体の行動パターンを把握する数値を得ることによって、一歩進んだマーケティング施策が可能になるのではないでしょうか。

例えばある会社では、こうしたデータを分析することによって、初回訪問時に引き合いにつながる問い合わせがくるケースはほとんどなく、問合せページを開いてから2、3回セッションを重ねた後で問い合わせが来るという傾向を把握することができました。
さらに、初回訪問からお問い合わせに至るまでに2週間〜1ヵ月ほどかかっていることが見えてきました。そうすると、「初回訪問から3ヵ月以上空いていて10回以上訪問しているユーザーは既にお取引のある既存顧客、またはメルマガ会員である確率が高い。」といったことが分かります。訪問回数が多いユーザーに対してコンバージョンに至るための施策をとる必要性が低いため、コンバージョンに至る行動を解析する際には、それ以外のユーザーの行動と区別して考えることができるのです。

また、行動傾向を知ることは、コンテンツを追加する頻度を判断する際の指標としても役立ちます。一般的には「新しいコンテンツを次々に出さなければ、サイトが刷新しているように見えない」と考えがちです。しかし新規顧客となるお問い合わせをしてくれる率が高いユーザーは3カ月くらいで入れ替わっているとすれば、過去のコンテンツを前に出すという対応でも問題ないかもしれません。
数値を分析することにより、より効率的で有効な施策が見えてきます。

今回は、ユーザーの行動全体を見渡した上でサイトやページの評価を行う重要性と、そのために役立つレポートの作成方法について紹介しました。GA4をより有効に活用し、すでにあるコンテンツ資産を最大限に活用していきましょう。

著者プロフィール

山田 浩之
デジタルマーケティング部 部長 シニアデジタルマーケティングコンサルタント/データアナリスト

大学卒業後、専門学校の職員として広報・学生募集担当を経て2006年よりWeb業界へ転身
某CS局チャンネルサイト運用などのメディアサイト運用ディレクター、大手証券会社の自社動画メディアサイトの運用ディレクターを経て、大手携帯キャリアのスマートフォンポータルサイトの運営・運用の統括PMに従事。
製薬業界、証券、銀行、保険業界でのBtoB向け動画オウンドメディア、教育コンテンツの会員サイトシステム構築、CMS構築、ユーザーログレポートシステム構築など多数。
2019年イントリックス入社 Webディレクター/PM/テクニカルディレクターとして大手農機具メーカーのグローバルサイト群リニューアル等に従事。

関連情報

BtoB企業のデジタルコミュニケーションを総合的に支援しています

BtoB企業に特化したサービスを提供してきたイントリックスには多くの実績とノウハウがございます。現状のデジタル活用の課題に対し、俯瞰した視点でのご提案が可能ですので、ぜひお気軽にご相談ください。

お問い合わせ

デジタル活用 無料オンライン相談会

BtoB企業のデジタル活用を支援してきた各分野の経験豊富なコンサルタントが、マクロな調査・戦略立案からミクロなデジタルマーケティング施策まで、デジタル活用の悩みにお応えします。

無料オンライン相談会
概要・お申し込み

BtoBデジタルマーケティングのお役立ち資料

BtoB企業向けにデジタルマーケティングの最新情報をホワイトペーパーとしてご提供しています。

資料ダウンロード
INTRiXメールマガジン

セミナーやコラム情報をお届け

ご登録はこちら