BtoBマーケティングコラム

【BtoB企業の事例で解説】Web活用のパートナー選定における、BtoBならではの5つのポイント

BtoB企業におけるWeb活用のカギは、パートナー選定?

自社サイトのリニューアルを行う際に、「費用が安いから」「デザインが良いから」といった表面的な理由でパートナーを選ぼうとしていませんか?
BtoB企業にとって、Webサイトは単なる情報提供ツールではなく、リードの獲得やお客さまとの信頼構築のよりどころとなる重要な役割を果たします。そのため、目先の課題テーマに対する個別最適の視点だけでパートナーを選ぶと、実際にプロジェクトが走り出してから「もっと俯瞰的な視点で考えておくべきだった……」と後悔しまうことも。

本コラムでは、事前に知っておくことで回避可能な失敗を防ぐために、BtoB企業ならではのWeb活用におけるパートナー選びのポイントを5つご紹介します。

1. BtoB特有の複雑な商材・商流への理解とノウハウ

パートナー選びの1つ目のポイントは、BtoBの商材や商流に対する理解の深さです。
BtoBのターゲットは業界によって多岐にわたり、同じ業界の中でも製造工程や用途によって求められる製品が細分化されています。このようなBtoBの特徴やターゲットのニーズを理解せずに作られたサイトは、デザインが刷新されて綺麗に整っていたとしても、ユーザーから「使いにくいサイトに改悪されてしまった」と評価される場合があるのです。

「見た目が整っている=ユーザーが使いやすいサイト」ではない

イントリックスがサイトリニューアルを担当した日東電工株式会社様では、もともとサイト内の製品を「種類から探す」「仕様から探す」「業界から探す」「機能から探す」の4つの切り口から検索できるようになっていました。

一見すると情報が分かりやすく整理されていて、改善の必要性はないように見えます。しかし、ユーザーインタビューやアクセス解析・ヒートマップ解析などの結果、実際にサイトを利用するターゲットユーザーが製品をより探しやすくするためには、別の切り口での製品分類が必要であることが分かりました。

このように、ユーザーにとって使い勝手の良いサイトにするためには、BtoB商材の幅広い用途やユーザーのニーズに対する深い理解が不可欠です。パートナーを選定する際には、BtoB領域における知見やノウハウがあることを一つの基準とし、自社と同規模のBtoB企業のサイト制作実績がどの程度あるのかを確認すると良いでしょう。

ユーザーレベルに適した検索切り口の整理例

ユーザーの状況・目的ごとに最適な検索切り口を提供するための整理を実施

2. 膨大な製品数に対応できる情報設計力&システム理解力

2つ目のポイントは、情報設計とシステム設計への理解の深さです。
BtoBではBtoCと比べて製品数が圧倒的に多く、大手の電子部品メーカーなどでは数十万種類の製品を取り扱っています。膨大な製品情報を適切に管理・発信するためには、緻密な情報設計スキルと、CMS(コンテンツ管理システム)やPIM(製品情報管理システム)といったシステムへの深い理解が欠かせません。

ユーザー視点での情報設計と機能実装で、複数のCVポイントが改善

イントリックスがサイトリニューアルを担当した浜松ホトニクス株式会社様では、数千点の製品情報が整理しきれておらず、目的の製品が探しにくいという課題を抱えていました。
そこで当社が行ったのが、浜松ホトニクス様のサイトを利用するお客さま視点での情報設計です。まずは全事業部へのヒアリングを通してお客さま像を定義し、お客さまにとって理想的な製品情報の見せ方を言語化。理想とする姿をよりどころに製品分類を再設計し、お客さまが製品を絞り込んでいく過程で必要となる情報(製品の特長やFAQなど)を追加することで情報の網羅性を高めました。

さらに、パーソナライズ機能やリコメンド機能を実装することで、「目的の製品がスムーズに見つかるだけでなく、思わぬ興味関心を発掘できる」という新たな価値提供を可能にしました。ユーザー視点にこだわって情報設計とシステム設計を行った結果、1回のサイトアクセスに対するPV数が増加し、カタログや製品データのダウンロード数も伸ばすことができました。

表示項目を細かく調整できる、浜松ホトニクス様の製品絞り込み機能(出典:浜松ホトニクス株式会社)

3. サイト群の視点を軸にしたグローバル対応力

海外の売上比率が高いBtoB企業にとって、グローバルサイトへの対応力もパートナー選びの重要なポイントです。
複数の国で事業を展開している企業は、日本サイトだけでなく、各国・地域の市場向けに最適化された多言語サイトの制作も必要になるケースがあります。当然ながら、多言語サイトの制作は、ただ日本サイトを現地の言語に翻訳するといった単純な展開作業ではありません。
例えば、サイトごとの視点では、「各国・地域ごとに異なるビジネス概況をくみ取った情報発信ができているか」や「個人情報の取り扱いは現地の法令に準拠しているか」。日本サイトも含めたサイト群全体における俯瞰視点では、「企業のアイデンティティ、ブランド戦略が反映された一貫性のあるデザインが適応されているか」や「サイトごとに個別最適されたシステム導入によって、無駄な運用負荷やコストが発生していないか」など、対象がグローバル規模になると、Web活用において必要な検討項目もさまざまです。

そのため、グローバルサイトのリニューアルにおいては、サイト単体ではなく「サイト群」の視点で情報設計ができるパートナーを選ぶことがおすすめです。さらに、これらの要素を踏まえてローカルサイトを構築するノウハウだけでなく、各国の子会社とコミュニケーションをとりながらサイト全体を管理・統括するスキルについても確認しておきましょう。

ハブ機能の強化で、空調業界ナンバー1の価値をグローバルに発信

ダイキン工業株式会社様では、走りながら考える企業文化を強みに、空調総合メーカーでグローバルNo.1の地位を築き上げました。その一方でWeb活用は十分に進んでおらず、中でも海外からのアクセスに対して「表示速度が遅い」「モバイルサイトが見づらい」といった課題がありました。

海外市場にダイキン様の価値をもれなく発信するために、イントリックスではグローバルサイトのリニューアルを担当。ダイキン様の強みが視覚的に理解できるブランドコンテンツを制作したほか、各国のユーザーが現地のローカルサイトにアクセスしやすくなるように、ハブ機能を強化しました。

その結果、ブランドコンテンツのアクセス数が大幅に増加。ローカルサイトも多くのユーザーに見られるようになり、各国の担当者の間で積極的なWeb活用に対する意欲が芽生えました。

サイト群におけるよくある課題とその背景

4. 中長期的な成果を見据えたデジタルマーケティング戦略

4つ目のポイントは 、長期的に見込み顧客を育成し、成果につなげるためのデジタルマーケティング支援ができることです。

BtoB企業のサイトに訪れるユーザーは、自社の課題を解決するためにサイトを何度も訪問し、複数のコンテンツを消費する傾向があります。そのため、継続的にサイトを改善・運用し、ユーザーとの接点を保ちながら意思決定をサポートする仕組みづくりが大切です。
一例として、弊社代表の氣賀の著書を一部引用して解説します。
電子部品メーカーでは、ターゲットである電機メーカーの回路設計者に対して技術資料や機能比較表などを提供することで、ターゲットの課題を解決できることをアピールします。その過程で相手の検討度合や予算感、購入予定時期などを把握しながら商談につなげていくのです。

このように、「自社製品・サービスの受注」をサイトリニューアルのゴールに設定する場合は、見込み顧客の育成から受注、ひいてはアフターサポートに至るまでのデジタルマーケティング支援ができるパートナーを選ぶとよいでしょう。

PIM・CMS連携とMAの導入でタイムリーな情報提供を実現

弊社がコーポレートサイトのリニューアルを支援した株式会社ミツトヨ様では、「製品情報がメディアごとに個別管理されており、ユーザーが求める情報を見つけにくい」「現地法人へのタイムリーな情報提供ができない」といった課題を抱えていました。
これらの課題を解決するために、イントリックスではPIM・CMS連携によって製品情報管理を効率化し、タイムリーなマーケティングコミュニケーションができるようにしました。さらに、MAの導入で見込み顧客の興味関心度を可視化。導入前には運用トライアルを実施し、営業担当が必要な情報をあらかじめ精査しました。

そのほかにもサイト全体の導線改修やコンテンツの追加などを行い、各種システムとWebサイトが相互に連携したデジタルマーケティング基盤の構築を実現させました。

BtoBユーザーの購買プロセス例

5. 大規模案件に対応できるプロジェクト推進力

最後の5つ目のポイントは、複数の関係者と連携しながらプロジェクトを前進させるマネジメント力です。大規模なプロジェクトであるほど関係者の数は多くなり、社内のメンバーやパートナー企業との連携に時間と労力がかかります。
プロジェクトの規模や内容によって社内外の関係者とのコミュニケーションが煩雑になる場合は、PMO体制が整っているパートナーを選ぶことが重要です。PMOとは、プロジェクト全体を管理するための組織や役割を指します。複数のプロジェクトを横断的に管理・支援するPMOがいることで、長期化しがちなプロジェクトを滞りなく進めることができます。

約20社のパートナーが関わるプロジェクトをPMOとして支援

PMO体制の一例として、イントリックスが支援した株式会社ニコン様のコーポレートサイトリニューアルプロジェクトをご紹介します。本プロジェクトは約20社のマルチベンダー 体制をとっており、イントリックスではPMOとしてプロジェクト全体のマネジメント支援を行いました。

具体的な支援内容は、サイトの全体構造の見直しや先方のインハウスデザイナーとの協業によるデザインの刷新、システム開発ベンダー とのCMS開発に関する連携などです。中でも、システム開発ベンダーとの打ち合わせはCMS環境構築を開始する半年前から行い、定期的にコミュニケーションをとることで認識のすり合わせを徹底しました。

CMS開発のほかにも、アクセス解析やCookie管理などの各種ツールによってベンダーが異なるため、それぞれの担当ベンダーとの打ち合わせを定期的に行いました。

全体俯瞰の視点でリスク管理をしながらプロジェクトを推進したことで、総ページ数3,000ページの大規模サイトリニューアルを予定どおりに完遂させることができました。

マルチベンダー体制プロジェクトにおける体制図の例

BtoB企業のパートナー選びの根幹は業界理解と全体俯瞰力

本コラムでは、BtoB企業がサイトリニューアルを行う際のパートナー選びのポイントについてご紹介しました。パートナーを選ぶ際は、「BtoBの商材や商流を深く理解し、全体最適の視点でサイト制作ができるか」「自社の課題を解決するためのノウハウや体制があるか」といったポイントを押さえると良いでしょう。パートナー選びに迷ってしまう場合は、イントリックスにお気軽にご相談ください。イントリックスでは、戦略・クリエイティブ・システムを三位一体で支援できる体制が整っています。プロジェクト開始前のRFI・RFPの作成やサイトリニューアル後の運用など、デジタルマーケティングにかかわる工程を一気通貫でサポートします。

BtoB企業のデジタルコミュニケーションを総合的に支援しています

BtoB企業に特化したサービスを提供してきたイントリックスには多くの実績とノウハウがございます。現状のデジタル活用の課題に対し、俯瞰した視点でのご提案が可能ですので、ぜひお気軽にご相談ください。

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