BtoBマーケティングコラム

マルチベンダー体制をコントロールするには?よくある課題と解決策

マルチベンダー体制とは?

特に大規模なWebサイト構築やシステム開発において、複数の企業が専門性を持ち寄り、連携してプロジェクトを進めることを「マルチベンダー体制」と呼びます。各ベンダーの強みや専門性を活かすことで、短期間で品質の高い成果物が実現できます。

また、特定の一社のみがプロジェクトに関わるシングルベンダー体制と異なり、特定の技術や規格への過度な依存を避けられることも利点の一つです。

マルチベンダーのよくある課題

マルチベンダー体制には明確なメリットがある一方で、複数の企業が関わる体制ならではの課題も多くあります。既にマルチベンダー体制でプロジェクトの統括を担当していて、以下のような悩みを抱えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

課題

クライアント企業側担当者の悩み

作業状況の把握や取りまとめが難しい
  • 複数のコミュニケーションチャネルで連絡が飛び交い、どこで何が起きているかのがわからない

  • ベンダーごとにタスクが進行し、全体像を俯瞰しづらい

  • 関わる人物やタスクが多く、スケジュール調整が難しい

責任範囲や作業領域が曖昧になる
  • ベンダー間に落ちたタスクを誰も拾わない「お見合い」状態になり、プロジェクトの進捗が滞る

  • 責任範囲が不明瞭になり、不具合の対応が遅れる

  • 責任の押し付け合いなどに発展するとプロジェクトが空中分解する可能性がある

ベンダー間の認識にギャップがある
  • ベンダー同士で要件や進め方などの都合を把握せずに提案してしまう

  • 認識の相違から要件に矛盾が生まれ、要件整理が難航する

  • システム連携部分の考慮がされないまま進行し、実際に連携をおこなう際につまずく

クライアント企業の業務負荷が高い
  • ベンダー同士は作業が見えないため、クライアント企業が中心となって、細やかにコミュニケーションをとる必要がある

  • 進捗管理、要件定義、契約、スケジュール調整、納品物のチェックなど、タスクが多い

  • システムやプロジェクト体制が複雑で属人化しやすい

効率的なマルチベンダーコントロールのコツ4つ

要件整理やスケジュール調整に時間がかかりプロジェクトが停滞すると、費用とスケジュールの大幅なロスにつながります。プロジェクトを滞りなく推進し成功させるには、複数のベンダーを連携させ、統合的に管理する「マルチベンダーコントロール」が不可欠です。
ここでは、マルチベンダーコントロールのコツを4つご紹介します。

共通のコミュニケーション手段を持つ

ベンダー共通のコミュニケーション手段やフォーマットを整備し、情報共有がしやすい体制を作りましょう。プロジェクト全体で情報が可視化され、各ベンダーが最新の情報を得やすくなることで、やりとりを円滑に進めることができます。

情報が埋もれがちなメールの代わりに、Backlog・Asanaといったプロジェクト管理ツールや、Slack・Teamsといったチャットツールを活用するのがおすすめ。定期的な会議や報告の場を設けることも効果的です。

役割分担と責任範囲を明確にする

各ベンダーの役割やプロセス、ルールなどを定義することが重要です。ベンダーの業務範囲と責任の所在を明確にし、誰が・いつ・どんな作業をおこなうのか詳細なスケジュールに落とし込みます。その際、ベンダー同士のタスク関係が結ばれているように、前後関係を意識しましょう。トラブル発生時の解決フローもあらかじめ決めておくことでリスクを抑えることができます。

また、クライアント企業の統括責任者は複数のベンダーとの折衝や的確な指示が必要となるため、技術・知識・マネジメント経験のあるメンバーが適任です。必要に応じてPMO(プロジェクトマネジメントオフィス)を立ち上げても良いでしょう。

プロジェクト全体像を共有する

プロジェクトの目的や実現したいゴール、全体スケジュールを可視化してベンダーに共有しましょう。各ベンダーが自社以外の工程や成果物に対して共通理解を持つことで、ズレが起きづらくなります。

プロジェクト全体でマイルストーンを設定することも効果的です。定期的な進捗確認により、問題の早期発見と解決が可能になります。

専門サービスを活用する

クライアント企業内でPMOの設置や人材の確保が難しい場合は、外部の専門サービスを活用する方法もあります。

その分費用はかかりますが、外部企業が複数のベンダーを取りまとめてプロジェクト全体統括をおこなうことで、クライアント企業の業務負荷軽減や属人化を防ぐというメリットがあります。進行管理だけでなく要件定義や設計といった上流工程から支援しているサービスもあるため、目的に合わせて委託するとよいでしょう。

また、あくまでもクライアント企業が主体となって進行したい場合には、クライアント企業内にPMを立てながらPMO支援をおこなうサービスもあります。

当社事例:ロボットメーカー様のサイトリニューアル支援

イントリックスがマルチベンダーコントロールをおこなった事例として、ロボットメーカー様のプロジェクト事例をご紹介します。

マルチベンダー体制の課題

営業プロセスのデジタル化を実現するため、製品サイトリニューアルとPIM(商品情報管理システム)導入プロジェクトが発足。このとき、メーカー様はプロジェクト体制において2つの課題を抱えていました。

課題①取りまとめの難しさ
本プロジェクトでは、製品サイト制作・CMS・PIMそれぞれ別の会社が担当するマルチベンダー体制となっていました。3社を取りまとめながら進行するのはメーカー様にとって難度も業務負荷も高い状態でした。

課題②システム連携の難しさ
製品サイトの公開日は決まっていたため、当初は製品サイトリリース後のPIM導入を計画していました。しかしPIM導入を別軸で進行すると、サイト上での製品情報の見せ方を考慮できず、PIM・CMS構築時の手戻りが発生しうる上、製品データが不足し運用が非効率的になる可能性があります。システム連携も複雑で、専門知識と経験が必要でした。

イントリックスがプロジェクト全体統括

これらの課題を踏まえ、イントリックスがPMOとしてプロジェクトを全体統括することになりました。

当社はPIMとCMSの連携を重視し、サイトリニューアルとPIM導入を並行して進めることとしました。製品サイトリニューアルとPIM導入の足並みが揃うように、QCDを最適化したプロジェクトデザインを設計。メーカー様・イントリックスの制作チーム・CMS構築ベンダー・PIM構築ベンダーと密に連携するため、4社が集まる課題管理ツールを活用して全体像を可視化しながら、マイルストーンを置いて情報共有を徹底し、プロジェクトを進行していきました。

遅延なくリリースし、運用保守も担当

メーカー様に代わりPMOとしてベンダーコントロールをおこない、プロジェクトを計画的に管理した結果、製品サイトリニューアルもPIM導入も期日通りに完了することができました。

その後も、イントリックスには開発時のメンバーがいること、複雑なシステム事情も把握していることから、メーカー様から引き続きサイトの運用保守をご依頼いただきました。メーカー様の窓口として対応し、トラブル発生時の要因の切り分けやスケジュール調整などベンダーとのやりとりをサポートしています。

メーカー様は日々の運用の中で、「問題が発生したときにどこに何を聞いたらいいのかわからない」という悩みをお持ちでしたが、「まずはイントリックスに聞けばよい」という状態になったことで担当者様の業務負荷が軽減しました。単なるコンテンツ更新にとどまらず、メーカー様の代わりにマネジメントをおこなうことに対してもメリットを感じていただいています。

まとめ

マルチベンダー体制は適切にコントロールすることで、プロジェクトの成功や効率化、品質向上につなげることができます。複数の企業を取りまとめるためには、役割分担を明確にし、密に情報共有をおこなうことが重要です。

イントリックスでは、プロジェクト全体統括・PMO・ベンダー選定もご支援しています。マルチベンダーの取りまとめや社内リソースに課題をお持ちでしたら、ぜひ一度ご相談ください。

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