グローバルマーケティングの強化が急務のBtoB製造業
日本のBtoB製造業の未来が海外の新規顧客開拓にかかっていることは、誰の目にも明らかです。
海外売上と言っても、海外進出した日本の完成品メーカーが主たる顧客で良かった時代は過ぎました。これからは、存在感を高めている外国の完成品メーカーや新興企業と取引できなければ、海外市場の成長を取り込むことはできません。
BtoB製造業はかつてないレベルで、グローバルマーケティングの必要性に迫られています。
一例をあげてみましょう。自動車部品メーカーはこれまで、系列の自動車メーカーの新車開発に合わせて部品の開発・供給を行なってきました。取引先の所在も、求めるものも、売れる時期も、ある程度のボリュームもわかっている世界にマーケティングは必要ありませんでした。
しかし、EVの登場によって業界の景色は一変しつつあります。米国のテスラ、中国のBYDなど、新興EVメーカーの台頭は著しく、しかも、残念ながらそれらはことごとく海外メーカー。
海外の新興メーカーと取引するには、勝手知ったる日本メーカー相手と異なり、自分は何者かから始め、実績や技術力、供給力などを伝え、自社の価値を理解してもらわなければなりません。しかも新たなメーカーはこれからも増えるでしょうから、数ある機会から適切な相手やタイミングを見計らって行動する科学的なアプローチが求められます。
このように、自社製品の買い手ががらりと変わりうる事態は、自動車業界のみならず、あらゆる分野で進行しています。迫りくるゲームチェンジの波に乗り遅れないためには、世界中でマーケティングを行なうことが不可欠となっているのです。
各国のデジタルマーケティングは現地任せで良いのか
マーケティングの第一歩は市場を知ること。ですから、各国におけるマーケティングは、各国で行うことが基本です。
ただ、本社のある日本と比べると、各国での実績、販売網や広告・プロモーションは、当然ながら手薄です。一方、先行する現地競合先のビジネスはこれまでのマーケティングの積み上げで成り立っており、追いつくのは容易ではありません。多くの日本企業は、徒手空拳の戦いを強いられているのです。
「現地のことは現地で」の原則論はあれど、もし、本社からの支援があれば、マーケティングの立ち上げや質向上のスピードは速まり、武器不足の戦いには大いなる助けとなるはずです。
特にデジタルマーケティングは、伝統的なマーケティングよりもスピーディかつ広範に顧客接点を作れるので、後発の企業にとって、きわめて有効なマーケティング施策です。
BtoB製造業の製品は、グローバル性の高いものが多く、Webサイト、製品データベース、コンテンツ素材やシステムツール類などを世界共通化しやすいため、各国のデジタルマーケティングは本社としても支援がしやすいと言えます。
さらに電子部品のようなグローバル商材だと、世界中で同じものを販売するため、完全なグローバル共通基盤上でデジタルマーケティングを行なうことができるのです。
日本のBtoB製造業にとって、最大の成長の源泉は海外の新規顧客開拓。先の原則論もあって、各国のデジタルマーケティングを現地任せにしている企業は多いですが、取り組みの重要性を踏まえると、十分に自立できていない地域は、本社が積極的に関与することで、スムーズに軌道に乗せる後押しをするべきでしょう。